冷蔵庫に常備している方も多い、万能調味料の柚子胡椒。
そのピリッとした辛味と爽やかな香りは、本当にたまりませんよね。
でも、ちょっと立ち止まって、原材料の表示を見たことがありますか?
柚子の皮と唐辛子は入っていますが、黒い粒の「胡椒(こしょう)」は一切入っていないんです。
「胡椒抜きなのに柚子胡椒?」という、この食卓の小さな矛盾。
今回は、ネーミングに隠された、日本の面白い言葉の歴史を徹底的に深掘りします。
🌶️ 九州地方が発祥?
名付け親は誰か?
結論:柚子胡椒に胡椒は入っていません。昔の九州地方の一部で、唐辛子のことを「こしょう」と呼んでいた名残なんです。
柚子胡椒は、大分県や福岡県など、九州地方が発祥とされています。
地元の人が、採れたての柚子と辛味を加えるための唐辛子を混ぜたのが始まりでした。
この地域では、古い時代から辛い調味料や香辛料を総じて「こしょう」と呼ぶ習慣があったんですね。
だから、柚子の皮と、地元で「こしょう」と呼ばれていた唐辛子を混ぜた調味料は、自然と「柚子胡椒」という名前になったわけです。
この命名は、非常にシンプルで地域に根ざしたものでした。
なぜ唐辛子が「こしょう」なのか?
なぜ、唐辛子を「こしょう」なんて紛らわしい名前で呼んだんでしょうか。
これには、「最初に伝わってきたものが、名前を支配した」という、言語の面白い現象が関係しています。
戦国時代末期に日本へ伝わったのは、「本家」の胡椒と唐辛子でした。
どちらも、当時の日本人にとっては「辛味を持つ、新しい外来のスパイス」だったんですね。
最初に「辛いものの代表」として認識されたのが「こしょう」。その結果、後から来た似たような辛さを持つ唐辛子も、まとめて「こしょう」と総称するようになったんですよ。
例えるなら、昔の人が携帯電話を、メーカーに関わらずみんな「PHS」と呼んでいた現象に似ています。
最初の強い印象が、後から来たものに上書きされたんですね。
日常の“あるある”?
この雑学を知っていると、スーパーの調味料コーナーでの視点がガラッと変わります!
「この柚子胡椒は、青い唐辛子と柚子の皮。こっちは赤い唐辛子と柚子の皮…やっぱりどこにも胡椒は入ってないな!」と、一人だけニヤリと確認できますよね。
ちなみに、全国的に知られる七味唐辛子にも、今でも山椒など「辛味」を持つものが「胡椒」と呼ばれることがあります。
辛いものを「こしょう」と総称する文化は、日本に根強く残っているんです。
📜 胡椒と唐辛子の伝来秘話
唐辛子は「南蛮こしょう」と呼ばれた
唐辛子は、南米が原産で、日本には16世紀に南蛮貿易を通じて伝わりました。
日本に入ってきたばかりの頃、唐辛子は「南蛮こしょう」や「蕃椒(ばんしょう)」など、胡椒にちなんだ名前で呼ばれていました。
「南蛮」は外国から来たという意味ですね。つまり、「外国から来た辛いこしょう」という認識だったわけです。
これが、九州地方の一部で、単に「こしょう」と省略されて定着した要因だと考えられています。
胡椒(ブラックペッパー)の日本史
一方、本家の胡椒は、奈良時代の正倉院の記録にも残るほど古い歴史を持ちます。
しかし、非常に高価だったため、長い間、薬や香料として扱われていました。
食材として一般に普及したのは、戦後になってからなんです。
唐辛子は庶民の味としてすぐに広まりましたが、胡椒は高級品。
この庶民の味と高級品の名称が、地域の方言の中で交錯したのも面白いポイントですよ。
柚子胡椒の「青」と「赤」の秘密
柚子胡椒には、青いものと赤いものがありますよね。この色の違いも、胡椒とは一切関係がありません。
青柚子胡椒は、まだ熟していない青い柚子の皮と、青唐辛子を使います。香りが強く、爽やかな辛さが特徴です。
赤柚子胡椒は、熟した黄色い柚子の皮と、赤唐辛子を使います。青に比べて香りは穏やかですが、辛味に深みとコクがあるのが特徴です。
どちらも唐辛子ですが、収穫時期の違いで色と風味が変わるんです。
🗣️ 会話が弾む雑談応用
九州の方言を深掘り
九州地方では、「こしょう」=唐辛子という認識が、今でも残っています。
例えば、「味噌こしょう」という調味料。これも味噌に胡椒ではなく、唐辛子が入っています。
もし九州出身の方と話す機会があったら、「地元のこしょうは、やっぱり唐辛子のことですよね!」と聞いてみてください。
文化の壁を越える、良い会話のきっかけになりますよ。
他の国の「唐辛子の呼称」
世界に目を向けても、唐辛子の名前は「Pepper(ペッパー)」と、胡椒にちなんで呼ばれることが多いんです。
例えば、英語の「Chili Pepper(チリペッパー)」もそうですよね。
これは、コロンブスがアメリカ大陸で唐辛子を見つけた際、「故郷の胡椒(ペッパー)のように辛い」と誤解したのが始まりだという説が有力です。
柚子胡椒の名前の矛盾は、実は世界共通の「勘違いの歴史」だったわけです。
胡椒の入った柚子胡椒を探してみる
念のために言っておくと、現代の調味料の中には、香りのアクセントとして「あえて」黒胡椒を加えた「進化系の柚子胡椒」も存在します。
原材料をチェックして、本当に胡椒が入っていたら、それは「歴史的な柚子胡椒」ではなく、「現代的なスパイス調味料」だと判断できますね。
軽い応用・雑談化ポイント
この知識は、誰かと鍋や焼き鳥を囲むときに最高に活きます!
「この柚子胡椒、実は唐辛子のことなんですよ」と話せば、『名前と中身の矛盾』という切り口で、一気に会話が弾みます。
「胡椒の入っていない柚子胡椒。
この名前の矛盾こそ、日本の食文化の歴史が詰まった『雑学のツボ』ですよ!」という豆知識、ぜひ披露してみてくださいね。

参考・出典
JOCR raditopi「柚子胡椒に「こしょう」が入っていないワケ 料理研究家に聞く「九州の方言にヒントが隠れています」」
→ 柚子胡椒の「こしょう」が唐辛子を意味する九州方言であるという核心的な理由と、料理研究家によるその魅力の解説。
RKB毎日放送「胡椒が入ってないのになぜ”柚子胡椒”と言うの?WHY?Fukuoka People」
→ 唐辛子が「唐を枯らす」に通じるため、縁起を避けて「コショウ」と呼んだという歴史的背景や、福岡における呼称の謎を調査。
農林水産省「ゆずごしょう 福岡県 | うちの郷土料理」
→ 農林水産省による公式情報。九州地方では唐辛子を「こしょう」と呼び、一般的な胡椒は「洋胡椒」として区別している事実。
note/PAYSAGE「【保存版】ゆず胡椒の魅力を徹底解説!歴史からおすすめの器まで」
→ 柚子胡椒が江戸時代末期から明治初期に九州で誕生し、1990年代に全国区になったという、比較的新しい調味料としての歴史的経緯。


コメント