日本では、ちょっと肩がぶつかっただけでも「すみません」。
店員に軽く声をかけるときも「すみません」。
気づけば一日に何度も“謝って”いませんか?
外国人から見ると、この「謝りすぎる日本人」はとても不思議に映るそうです。
けれど実は、この“すみません文化”には、日本特有の心理と文化の深い背景が隠れています。
この記事では、「なぜ日本人はこんなにもすぐ謝るのか?」を日常会話・歴史・心理学・言語文化の4つの視点からひもといていきます。
日本人が“すぐ謝る”のはなぜ?日常に根付く謝罪文化
日本語の「すみません」は、実は**“謝罪”の言葉だけではありません**。
- 「ありがとう」の代わり
- 「ちょっといいですか?」の呼びかけ
- 「ごめんなさい」の軽い表現
このように、感謝・呼びかけ・謝罪が同じ言葉で表されるのが日本語の特徴です。
たとえば、エレベーターでボタンを押してもらった時に「すみません」と言うのは、
「助かりました」という感謝の意味合いが強いですよね。
つまり、「すみません」は相手に気を使う“万能クッション”。
この言葉を使えば、場の空気をやわらげ、相手を不快にさせずに済むという安心感があります。
歴史的背景──“和を乱さない”という価値観
日本社会には古くから「和をもって貴しとなす」という思想があります。
これは聖徳太子の十七条憲法の第一条に記された言葉で、
「争いを避け、調和を重んじること」を何より大切にする考え方です。
この「和」の価値観が、長い歴史の中で人々の行動や言葉づかいにも浸透していきました。
特に江戸時代以降の武士道では、「恥を知ること」や「面目を保つこと」が重視され、
責任を取る姿勢=謝罪という形が尊ばれるようになったのです。
さらに、戦後の教育や社会構造では、「謙遜」や「自己主張の控えめさ」が美徳とされ、
「謝ること=礼儀正しい」という文化が定着しました。
心理学から見た“謝りすぎる人”の特徴
心理学的に見ると、「すぐ謝る」行動にはいくつかの要因が考えられます。
ひとつは“同調バイアス”。
「周囲と違う行動を取りたくない」「波風を立てたくない」という心理です。
また、“評価懸念”と呼ばれる傾向もあります。
「相手に悪く思われたくない」「失礼な人だと思われたくない」と感じると、
先に謝って相手の反応を和らげようとするのです。
一方で、これは過剰な自己卑下ではなく、
“相手の感情を察して行動できる高い共感力”の裏返しでもあります。
つまり、謝ること自体は人間関係をスムーズにする高度なスキルなのです。
海外との違い──「Sorry」と「Excuse me」の距離感
英語の「Sorry」は、日本語の「すみません」と似ているようで、
実際には“責任の所在”を含む重い言葉です。
たとえば、英語圏で「I’m sorry.」を多用すると、
「自分に非がある」と受け取られることもあります。
そのため、英語では代わりに「Excuse me」や「Thank you」を使う場面が多いのです。
一方で、日本語の「すみません」は非常に多義的。
“謝罪”だけでなく“感謝”“依頼”“呼びかけ”など、
相手との関係をスムーズにする潤滑油のような役割を果たします。
この違いこそが、外国人が「日本人はなぜそんなに謝るの?」と感じる理由なのです。
これからの“上手な謝り方”──気遣いと自己表現のバランス
「謝る」こと自体は悪ではありません。
むしろ、謝ることでトラブルを未然に防ぎ、人間関係を円滑にする力を持っています。
ただし、過剰な謝罪は相手に「距離を感じる」印象を与えることもあります。
たとえば、「すみません」ではなく「ありがとうございます」と言い換えるだけで、
同じ気遣いをよりポジティブに伝えることができます。
気遣いを忘れずに、感情を抑えすぎず、
“伝わる謝罪”を意識することが、これからの時代の「スマートな気配り」なのかもしれません。
参考・出典
ITmedia「なぜ、日本人はすぐに“すみません”と言うのか」
→ 「すみません」という言葉が謝罪・感謝・呼びかけなど多様な意味を持ち、文化的背景に「謙遜」や「相手配慮」があることを解説しています。
PLAZA HOMES「知って得する日本人の“すみません”文化」
→ 日本語の「すみません」が感謝・謝罪・依頼のすべてに使われる理由を、文化的背景と英語表現の違いから紹介しています。
グローバルパワーユニバーシティ「#2 日本人が使う『すいません』の意味とは?」
→ 「すみません」という言葉が「思いやり」や「距離の取り方」を表す日本的コミュニケーションの象徴であると解説しています。
JP Cool「海外からは謝り過ぎに感じる?日本人の“謝り方”には意味がある」
→ 海外との文化比較を通じて、日本人が“謝罪”を通じて調和を保とうとする心理的背景を分析しています。
note「日本人の謝罪文化はどこから来たのか?」
→ 日本人がすぐに謝る背景を、儒教・仏教・集団調和の観点から考察した記事。一般向けながら文化的文脈の整理に役立ちます。


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